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2022.02.22

SAPモジュールとは?会計ソフトとの違いを初心者向けに基礎から解説!

目次

SAPモジュールについて、基礎から解説します。ERP製品としてのSAPの概要や会計ソフトとの違いや主要モジュールの紹介に加え、重要モジュールであるFIのサブモジュールや、スキルアップのために必要な知識についても紹介します。

【基礎】SAPとは

SAPモジュールについて解説する前に、そもそもSAPとはどのようなものなのか、基礎的なことを解説します。簡単に言えばSAPとは、世界的に高いシェアを誇るERP製品のことです。

SAP社製のERP製品

SAPとは、ドイツSAP社が提供しているERP製品です。ERPとは、会社を一つのシステムで管理する、という考え方、またその考え方に基づいたシステムを指します。

ERPの誕生以前、部門ごとに異なるシステムを利用していた頃は、部門間でのデータ共有に手間がかかるなど、課題もありました。そこで、全てを一つのシステムで管理する、という考え方、つまりERPが誕生したのです。

SAPは、そうしたERP製品の中でも世界的に評価されています。日本でも大企業を中心に導入が進んでおり、国内トップのシェアを誇っています。SAPを扱うスキルの需要も高まりつつあると言えるでしょう。

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SAPモジュールとは

それでは、SAPモジュールとは一体どのようなものなのでしょうか。ここでは、モジュールの基礎について解説した上で、会計ソフトとの違いについて説明します。

SAPモジュールと会計ソフトとの違い

SAPはERP製品であるため、会社全体を一括して管理することができます。しかしその中には財務や会計、物流といった様々な業務領域が含まれます。SAPモジュールとは、SAPのそれぞれの業務領域を構成している部品と言えます。

それでは、SAPモジュールと会計ソフトはどう違うのでしょうか。一般に、会計ソフトは会計のみを利用目的としており、「ヒト・モノ・カネ」のうち「カネ」だけにフォーカスしています。

それに対してSAPは、会計のみならず会社全体の一括管理を目的として導入されます。SAPモジュールは「ヒト・モノ・カネ」の全てを管理対象としている、という点にも違いがあります。つまり、SAPの方が目的や対象の幅が広いのです。

SAPを構成する4種類のモジュール

それではSAPの基礎的なモジュールを紹介します。ここでは、財務会計(FI)、管理会計(CO)、販売管理(SD)、調達/在庫管理(MM)の4つについて説明します。

①財務会計(FI)

SAP FIと呼ばれる財務会計モジュールは、SAPの中でも基礎となるモジュールです。基本的に財務会計モジュールは、損益計算書や貸借対照表といった、社外向けの財務諸表を作成するために用いられます。

こうした財務会計はどの会社でも欠かすことのできない業務であり、スキルが求められます。そのため、SAPを導入している会社のほとんどはこのモジュールを使用しており、重要度の高い、基礎的なモジュールであると言えるでしょう。

SAP FIはさらに、いくつかのサブモジュールに分かれています。後ほど詳しく解説します。

②管理会計(CO)

SAP COと呼ばれる管理会計モジュールは、原価管理を行うモジュールです。SAP FIが社外向けの財務諸表の作成に用いられるのに対し、SAP COは社内向けの文書の作成に用いられます。

SAP COでは、購買・生産・販売というデータを元に、標準原価を計算することができます。また、実際の購買・生産・販売データと連携を行うことで、実際原価を求めることも可能となっています。

また、SAP COには他のサブモジュールとして、人件費等の間接費管理を行うCO-OMや、収益性分析を行うCO-PAがあります。

③販売管理(SD)

SAP SDと呼ばれる販売管理モジュールは、注文を受けてから請求書を発行するまでの一連の販売プロセスを管理します。

具体的には、取引先からの見積と受注、モノの出荷、最後に請求、という3つのプロセスを実現しています。請求情報をSAP FIと連携することも可能です。

また、モノを販売する、という基本的なプロセスだけでなく、特殊な販売プロセスにも対応しています。返品による請求取り消しや、モノを扱わないサービス業の場合には受注・請求というプロセスのみで管理することも可能です。

④調達・在庫管理(MM)

自社が販売する際のプロセスを管理するSAP SDとは違い、SAP MMと呼ばれる調達・在庫管理モジュールは、自社が資材等を購入する際のプロセスを管理します。

具体的なプロセスとしては、仕入れ先への発注、資材の入庫、仕入れ先からの請求書の管理等が挙げられます。請求書をSAP FIと連携することも可能です。

単に調達するだけでなく、自社がどの程度の在庫を有しているのかを管理することができます。主に製造業で用いられているSAPモジュールです。

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FIの重要性は高い

ここまで、SAPモジュールのうち、基礎となる代表的な4つのモジュールを紹介してきました。いずれも、企業の中で重要なプロセスを管理することができるモジュールだということがお分かりいただけたかと思います。

中でも最も重要なモジュールが、財務会計を担うSAP FIです。ここでは、SAP FIについてさらに詳しく説明します。

連携機能

SAP FIの重要性の高さを担う要素の1つとして、連携機能が挙げられます。先に紹介したSAP SDやSAP MMも、請求書等のデータをSAP FIと連携する機能がありました。

実際の販売情報や、仕入れ情報等、実務の結果生まれる会計情報を、財務会計機能と連携させることができれば、手動で計算を行う手間や、入力ミス等のリスクを回避することもできます。

そのため、SAP FIを扱うスキルに長けていれば、業務効率や正確性を高めることができるとも言えるでしょう。

スピードや取引量の維持に必要

財務会計は企業において基礎的な業務となっており、大企業であるほど、求められる作業量は多くなります。財務会計のスピードを維持するためにも、財務会計を手早く行うことのできるSAP FIの重要性は高くなっています。

また、大企業を中心に、ERPによる会計を前提として取引を求める企業も増えつつあります。今後さらにSAPによる会計スキルの需要は高まっていくかもしれません。

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財務会計と管理会計の違い

財務会計と管理会計の違いとは、どのような点にあるのでしょうか。

一般的に、財務会計が社外に自社の会計情報を伝えるための会計であるのに対して、管理会計は自社内で情報を共有するためのものを指します。

そのため、財務会計は形式に一定の決まりがあるのに対し、管理会計は会社毎に自由な運用が可能となっています。両者の違いを考慮し、使い分けるスキルが必要になります。

FIのサブモジュール

SAP FIをはじめとするSAPモジュールには、さらにサブモジュールと呼ばれるものが含まれています。ここではそれらサブモジュールのうち、代表的なものを5つご紹介します。各モジュールの機能や違いも抑えておく必要があるでしょう。

総勘定元帳(FI-GL)

FI-GLモジュールと呼ばれる総勘定元帳では、日々の会計を管理し、総勘定元帳に連携することで、会社の取引の全てを記録することができます。

他のサブモジュールの結果として生まれた会計を、このサブモジュールで一括管理します。

債務(FI-AP)

FI-APと呼ばれる債務サブモジュールでは、購買プロセスで生じた売掛金や未収入金といった債務について管理することができます。債務を支払うタイミングや額を管理し、自動で支払うといった機能も有しています。

債権(FI-AR)

FI-ARと呼ばれる債権モジュールでは、販売プロセスで生じた買掛金や未払い金といった債権について管理することができます。発生した債権を確実に回収できるように機能しています。

固定資産(FI-AA)

FI-AAと呼ばれる固定資産モジュールでは、固定資産を一括して管理することができます。機械や不動産といった有形の固定資産に加え、ソフトウェアのような無形の固定資産についても管理でき、減価償却費の計算等を行います。

銀行(FI-BL)

FI-BLと呼ばれる銀行モジュールでは、銀行に特化した財務会計を行います。入金や支払い登録、残高の管理などを担います。

モジュール間の連携知識も覚えてスキルアップ!

ここまで、SAPの基礎となるモジュールについて解説してきました。SAPモジュールは会計ソフトとは違い、企業の業務全般を一括管理することを目的としています。

そんなSAPモジュールの中には、財務会計、管理会計、販売管理、調達・在庫管理といった代表的なモジュールがあります。いずれも重要なだけに、それらを扱う高いスキルが求められるのです。

また、中でもSAP FIは基礎的なモジュールとなっており、サブモジュールも含め、高いスキルが必要になります。モジュール間の連携についての知識も覚え、SAP製品についてのスキルアップを目指しましょう。

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