2022.04.21
システム制御に欠かせないOTデータとは?DXやセキュリティとの関係も確認!
目次
情報技術ITと対照的な存在であるOT。
主にネット上でデータシステムを扱うITとは別に物理的な環境下でやり取りされるOTは近年需要が拡大し始めています。
そこで今回はOTデータやDX・セキュリティとの関係などを解説していきます。
OTとは
まずはOTについて解説を進めていきます。
OTはITと対照的な存在でありながら、IT以上に需要を拡大しつつあるものです。
OTについて学んでいきましょう。
オペレーション・テクノロジーの略称
まずOTとは「オペレーション・テクノロジー」の略称です。
主に、
ハードウェア
ソフトウェア
を駆使して産業機器を制御するために必要な技術のことを指します。
OTは様々な業界で使用されており、
製造
エネルギー
医療
ビル管理
などにも使用される特殊なシステムとしても知られています。
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産業機器を制御する手法
ITはネット上であらゆるシステムやものを制御しています。
一方でOTは先ほどご紹介した産業機器など物理的なものに対して制御を行いますので、ITとは全く別物です。
しかし、最近ではOTとITを組み合わせる制御方法が登場しています。
工場のIoT化でも重要な役割を果たす
例えば、工場のIoT化です。
様々な業界がDX化に勤しむ中、工場はなかなかDX化を進めていくことが難しい業界とされています。
ただ、OTデータを収集しITに生かすことができればIoT化をスムーズに進めていけるのではないかという考えが登場しました。
現在は工場のIoT化に一役買っているOT。
これから先、散在しているOTデータをどのようにして収集しITへ流すのかが重要なポイントになってきます。
OTが活用する分野
OTが活用する分野は主に以下が挙げられます。
工場・プラント
発電所
航空
鉄道
水処理施設
食品加工工場
製薬会社
商業施設
ホテル
オフィスビル
これらにはOTが活躍・制御できる場面がたくさんあり、これからOTデータを駆使してさらにIoT化が進んでいくことは間違いありません。
OTとセキュリティの関係
ではここでOTとセキュリティの関係についてみていきます。
OTにはセキュリティ面が欠かせませんが、どのように関係しているのでしょうか。
重要インフラで使用されるOT
まず、OTが使用されるのは重要インフラであり今まで以上にセキュリティ面を強化しなければなりません。
最近ではリモートワーク などの普及によりリモートアクセスが増え、かつてのように軟弱なセキュリティではサイバーセキュリティに突破されてしまう可能性があります。
情報漏洩やサイバー攻撃などに合わないようにセキュリティ戦略をいち早く導入すべきでしょう。
OTのセキュリティホール
ITはネットワーク技術の向上に伴いセキュリティ面はどんどん成長していきますが、OTはそういうわけではありません。
オフライン上で使用されるOTにはセキュリティホールがたくさんあり、大企業でもOTのセキュリティホールを突かれサイバー攻撃を受けることが少なくありません。
OTのセキュリティホールをいかに潰すかが今後の課題となってくることは間違い無いでしょう。
OTとハイブリッドクラウドの関係
続いては、OTとハイブリッドクラウドの関係についてもみていきます。
ハイブリッドクラウドとは、
ワークロードの可搬性
オーケストレーション
管理
などを組み込んだITアーキテクチャのことをいいます。
このハイブリッドクラウドとOTはどのような関係にあるのでしょうか。
OTとITに共通の基盤を提供
結論ですが、ハイブリッドクラウドはOTとITに共通の基盤を提供しています。
オープンソースソフトウェアと近代的なソフトウェア開発の手法を合算していると言っても過言では無いハイブリッドクラウドは、OTとITの基盤を提供することに成功しています。
システム間で行われる作業の柔軟性と相互運用性をもハイブリッドクラウドはサポートしてくれているのです。
ハイブリッドクラウドがなければOTとITのつながりは無いと言っても過言ではありません。
OTデータの活用事例
ここまでみてきたOTデータですが、どのような場面で役立っているのでしょうか。
OTデータの活用事例についてご紹介します。
日立建機のDX
代表的なOTデータの活用事例が「日立建機のDX」です。
日立建機株式会社はDX加速に向けて、OTとITのデータ活用のためのプラットフォームを構築しました。
OTデータなどを一元管理し、データ利活用を促進するプラットフォームとして「DX基盤」というものが構築されています。
データ収集などをネックとしていた日立ですが、データ収集だけでなくデータの分析や活用までをスムーズに行わせるようなサイクルを生み出しています。
顧客に目を向けたOTデータの活用事例といえるでしょう。
他にもOTデータの活用事例はたくさんありますので、日立建機以外でも検索をしてみてください。
OTデータ取得時の注意点
大企業が次々とOTデータを活用していますが、OTデータの取得時に色々な問題点があることをご存知でしょうか。
OTデータ取得時の注意点について学んでおきましょう。
通信プロトコルはデバイスごとに異なる
まずOTデータ取得時の注意点は、通信プロトコルはデバイスごとに異なることです。
OTデータはセンサーやコントローラーなどの制御システムに活用されていますが、元々は高度に専門化した産業用アプリの運用を可能とするために開発されました。
ただ、1つ問題点がありOTデータを収集する場合、通信プロトコルはデバイスによって異なり、各デバイスだけが理解できる通信プロトコルを利用しています。
つまり、多くのOTデータを収集する場合はそれに相応した通信プロトコルのデバイスを用意しなければなりません。
万が一そのような機能が搭載されていないデバイスの場合、OTデータの収集は困難を極め必要以上の経費を捻出しなければなりません。
データの識別
次のOTデータ取得時の注意点は、データの識別です。
OTデータの多くは「生データ」と言われ特段意味を持っていません。
例えば、温度管理の場合45℃を上回ると自動的にスイッチが切れるように設定していたとしましょう。
この温度管理のデータはOTデータとして分析者に送付されてきますが、OTデータには意味がありませんので、
どのデバイスから得た制御データなのか
制御データはいつ取得したのか
制御データは誰が所有しているのか
などを把握することができません。
そのため取得したOTデータに対して意味を付与してあげることが必要になりますが、IT製品をさらに導入することになりますのでそれ相応の資金が必要になります。
DX化を進めるにあたってもこの意味を付与することが重要になってきます。
不安定な環境下にあるOTデータ
次のOTデータ取得時の注意点は、不安定な環境下にあるOTデータです。
ITはネット上で動作しますのでオフラインでの環境の影響を受けませんが、OT取得の場合はオフラインでの環境の変化を大きく受けてしまいます。
例えば、
氷点下の寒冷地
振動が大きい輸送システム
化学燃料タンク
高圧変電所
などで計測取得を進めていくとOTデータの収集に悪影響を与えることが想像できると思います。
万が一不安定な環境下でOTデータの取得を進める際にはこういった機能不良を引き起こす可能性があることを理解しなければなりません。
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OTデータの取得を強化してDXを成功させよう
今回はシステム制御には欠かせないOTデータやハイブリッドクラウドとの関係についてみていきました。
OTデータはITデータと同様にデータ分析には欠かせない要素となっていますが、まだまだ課題点がたくさんあります。
物理的な環境に影響を受けやすい点においてはOTの問題点として大きく挙げられており、今後どのようにして課題点を解決していくのかがポイントとなってくるでしょう。
これさえ改善できればDX化は目前です。