2022.02.25
フリーランスの年金手続きとは?老後資金のために節税対策を学ぼう!
目次
フリーランスがおさえておくべきお金の知識について紹介します。会社員からフリーランスとして独立する際に必要な年金の手続きや、老後の資金準備としての小規模企業共済や国民年金基金、節税対策としての控除や減価償却について説明します。
フリーランスならおさえておくべき年金の知識
会社員からフリーランスになる時、おさえておきたいのがお金に関する知識です。ここではまず、年金の基礎的な知識について解説していきます。
国民全員が加入する国民年金
日本の年金には二種類あります。それが「国民年金」と「厚生年金」です。そのうち、フリーランスが将来的に受給できるのは「国民年金」だけです。
「国民年金」はその名の通り、20歳以上60歳未満の国民全員に加入の義務がある年金です。保険料は定額となっており、2022年時点での月額は16,410円となっています。
20歳から60歳まで、全ての保険料を納付した場合、月額約6万5千円を受給することができます。加入期間が短ければ短いほど、受け取れる金額も少なくなります。フリーランスになる際、きちんと手続きをする必要があります。
会社員・公務員が加入する厚生年金
もう一つの年金が「厚生年金」です。厚生年金の加入対象者は主に会社員です。フリーランスは厚生年金に加入することはできません。
厚生年金の保険料および受給額は、その人の収入によって変動します。また、保険料の半額は雇用主が負担してくれる仕組みとなっています。
例えば、厚生年金に40年間加入し、その期間の平均月収が42.8万円だった場合、厚生年金の受給合計額は約9万1千円とされています。
フリーランスは国民年金しか受け取れない
会社員の場合、満期時には国民年金に加え、厚生年金も受け取ることができます。それに対し、フリーランスの場合は厚生年金に加入することはできないため、年金の受給額は大きく減ってしまいます。
フリーランスの場合は老後の資金を準備するために、より一層注意する必要があります。具体的な方法については後ほどご紹介します。
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フリーランスの国民年金加入手続き
会社員からフリーランスになった際、国民年金に新しく加入する必要があります。ここでは、その際の加入手続きについて説明します。
市区町村の窓口
フリーランスになった際の国民年金の手続きは、済んでいる市区町村の役所、あるいは支所で行います。手続きそれ自体はそれほど面倒ではありませんが、持参すべきものがいくつかあります。
持参する必要があるのは、「年金手帳」、離職・退職証明書等の「退職した日付がわかるもの」を持参します。そういったものが無い場合には、それまで勤めていた事業所の名前や電話番号、就職退職年月日を伝えることでも代用できます。
手続きのタイミング
フリーランスになった後の手続きのタイミングは、いつでもいいというものではありません。可能な限り早く行う必要があります。タイミングが遅くなると、未納扱いとなってしまう場合があります。
厚生年金を支払っていた月と国民年金に加入した月との間が連続しておく必要があるため、退職から半月以内には手続きを終えておくのがベストです。
手続きの注意点
手続きの際、人によって他の手続きが必要となる場合があります。自分がどのケースに該当するのかを正しく把握した上で、手続きの準備をしましょう。ここでは3つのパターンについて紹介します。
保険料納付が難しい場合
まずは、国民年金に切り替えはするものの保険料の納付が厳しい場合です。特にフリーランスの場合、独立したての頃は仕事が少なく、収入が安定しない場合が多いとされています。
その場合、手続きによって納付が免除されることがあります。申請すれば必ず免除される訳ではありません。免除が認められた場合には、保険料の全額、4分の3、半額、4分の1のいずれかの額が免除されます。
しかし注意しておきたいのは、あくまでも免除になるだけであり、得をする訳ではない、ということです。免除された分だけ、最終的に受給できる額は減ってしまいます。
配偶者(第2号被保険者)の扶養に入る場合
第2号被保険者、すなわち会社員など、厚生年金の加入者である配偶者の扶養に入る場合には、第3号被保険者という扱いになります。この場合、保険料の自己負担はありません。ちなみに、フリーランスは第1号被保険者という区分になります。
その際の手続きは、配偶者の勤務している事業所を通じて行う必要があります。
配偶者がいる場合
第2号被保険者である会社員からフリーランスである第1号被保険者へと年金を切り替えた場合には、配偶者の年金を切り替える必要があります。
具体的には、第3号被保険者として扶養に入っていた状態から、第1号被保険者として新たに保険料を納める必要があります。手続きは、市区町村の年金事務所にて行います。
老後に必要な資金
ここまで、フリーランスの年金事情についてご紹介してきました。フリーランスは厚生年金への加入ができないため、将来受給できる年金の額はどうしても少なくなります。
そのため、フリーランスになる際には老後のための資金について意識しておく必要があります。ここでは老後の必要生活費や、その準備と対策について解説します。
老後の生活費は平均34.9万円
そもそも、老後にどのくらいの生活費がかかるものなのでしょうか。生命保険文化センターが行った調査によれば、老後の最低日常生活費は、月額で平均22万円、ゆとりのある生活費は、月額で平均34万円とされています。
この額を見ると、それなりに大きい額が必要なことが分かるかと思います。
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国民年金だけでは老後資金が不足することも
厚生年金の受給に加え、退職金も期待できる会社員と比較すると、国民年金しか受給することのできないフリーランスは、老後の資金にかなり不安が残ります。
そのため、ゆとりのある老後を迎えるためには、早いうちからの対策が必要になります。
フリーランスにおすすめの老後資金準備
それでは、フリーランスは老後に備えて具体的にはどのような準備・対策をしていけばよいのでしょうか。ここでは、おすすめの老後資金準備についてご紹介します。
小規模企業共済
一つ目が、「小規模企業共済」というものです。あまり知られていませんが、フリーランスにおすすめの制度です。聞きなれない言葉だとは思いますが、簡単に言えば、「個人事業主のための退職金積み立て制度」です。
会社員が退職時に退職金を受け取れるのに対し、フリーランスは本来、廃業しても退職金がありません。小規模企業共済で毎月設定した掛金を積み立てることで、フリーランスであっても共済金を受け取ることができます。
また、掛金が全額控除されるため、節税対策にもなります。フリーランスにとって、節税対策は生活に大きく影響します。掛金を全額控除した上に廃業時の退職金にもなる、というのは、老後の資金準備として非常に有効とされています。
国民年金基金
「国民年金基金」とは、会社員が加入する厚生年金のように、国民年金に上乗せすることができる年金です。フリーランスなどの第1号被保険者のみが加入できる年金です。
国民年金基金は、将来の受給金額があらかじめ決まっているため、インフレ等によりお金の価値が下がってしまう可能性がある、ということに注意する必要があります。また、基本的に一度加入すると自己都合では辞められません。
国民年金基金は、先ほどの小規模企業共済と同じく、保険料を全額控除することができます。資金準備のためだけでなく、フリーランスにとっては節税対策にもなるため、加入の検討をお勧めします。
iDeCo
最後に紹介するのが、個人型確定拠出年金iDecoです。iDecoは掛金を自分で積み立てて金融商品を運用し、運用実績に応じて60歳以降に受給することができます。
iDecoも小規模企業共済や国民年金基金と同じく、掛金を全額控除することができ、資金準備のためだけでなく、フリーランスにとって重要な節税対策になります。
iDecoは金融商品を運用する年金のため、一定の運用リスクはあります。そのため、運用の実績によって将来的に受け取れる給付額が変動する、ということにも注意しておく必要があります。
フリーランスの節税対策
フリーランスとして働く場合、自分で税金の申告を行う必要があります。そのため、自分がどの程度の額を納める必要があるのかを把握し、抑えられるところは抑えたいものです。ここでは、フリーランスの節税対策について紹介します。
経費と控除を見直す
フリーランスが納めるべき税金のうち、最も重い負担となるのが所得税です。そのため、所得税の節税対策は、最も重要な節税対策と言えます。
所得税の額は、課税される所得金額によって変わります。そして課税される所得金額は、所得合計額から経費と控除の額を引いた額になります。つまり、所得の中で経費と控除が多ければ多いほど、所得税の額は低くなるのです。
フリーランスとして活動する際には、経費と控除を見直して、申告の漏れがないかを注意していく必要があります。
青色申告をする
フリーランスとして活動をはじめると、確定申告を行う必要があります。確定申告には青色申告と白色申告があります。白色は簡易的な申告であるのに対し、青色は複雑で、必要となる書類も増えますが、青色申告には特別控除があります。
「青色申告特別控除」として、最大で10万円、55万円、65万円のいずれかの控除を受けることができます。控除額が大きくなればなるほど、所得税の額は低くなるため、節税対策として有効とされています。
減価償却の特例を活用する
減価償却とは、購入した資産の費用を分割して計上する会計の方法です。中でも、一定の条件を満たすことで、10万円以上30万円未満のものを一括して経費として処理することができる「少額減価償却資産の特例」があります。
この特例を用いることで、対象の固定資産にかかる費用を、一括して必要経費として申告することができ、節税対策として大きな効果が期待できます。
フリーランスになるならお金の備えを
フリーランスとして独立する際、お金の備えをしっかりとするべきである、ということがお分かりいただけたかと思います。厚生年金や退職金を受け取ることができなくなるフリーランスは、老後の資金準備をしっかりとする必要があります。
具体的には、小規模企業共済、国民年金基金、iDecoといった制度の利用に加え、所得税を中心に節税対策を検討することが有効です。
フリーランスとして安心して働くためにも、お金の備えはしっかりしておく必要があります。