2022.04.11
SAP社推奨の3システムランドスケープとは?定義や移送方法も確認!
目次
SAPには様々なシステム構成がありますが、SAP社は独自で「3システムランドスケープ」というシステム構成を基本としています。
また、「3システムランドスケープ」はシステム構成の基本であることを推奨しており「3システムランドスケープ」について理解を深めておく必要があります。
そこで今回はSAP社推奨の3システムランドスケープやメリット、定義についてみていきます。
SAP社の3システムランドスケープについて解説
SAP社が独自で推奨している「3システムランドスケープ」。
SAPの「3システムランドスケープ」は基本的なシステム構成になり、SAPを利用する上で抑えておくべきことになります。
本記事ではSAPの「3システムランドスケープ」について解説をしていきます。
SAP社の3システムランドスケープの定義
まずはSAP社の「3システムランドスケープ」の定義についてみていきましょう。
SAPの「3システムランドスケープ」の定義とは、導入から運用保守までの流れの中でシステムをいかに効率的に運用できるのか考えた上でSPA社が推奨している構成のことを指します。
SAPの「3システムランドスケープ」の内訳は、
開発環境
テスト環境
本番環境
の3つに分けられており、これらを合わせてSAPの「3システムランドスケープ」と呼びます。
これが定義です。
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システムの安定稼働のための構成
システムを安定的に稼働させるためにはSAPの「3システムランドスケープ」は欠かせません。
サーバーのサイズの決定などにも関与してくるSAPの「3システムランドスケープ」については、以下で解説を進めていきます。
SAPの3システムランドスケープ構成
ではSAPの「3システムランドスケープ」の構成について詳細に解説していきます。SAPの「3システムランドスケープ」を理解するためにはこの3要素は欠かせません。
SAPのクライアントという概念
まずSAPでは1つのシステム上にいくつかの環境を定義することができます。
この環境のことをSAP用語で「クライアント」といいます。
この「クライアント」はプロジェクトを開始した段階で定義されるもので、最終的にシステムが完了・廃棄になるまで定義された要件は変わりません。
そのためプロジェクトが開始する前によく考えて「クライアント」の定義をしておく必要があります。
①開発機
SAPの「クライアント」については以上です。
ではSAPの3システムランドスケープの1つである「開発機」について解説を進めていきます。
「開発機」とは開発を行う環境・クライアントのことを指し、
アドオン開発
カスタマイズ
などを行うために必要です。
サンドボックス的な環境・クライアントとして「開発機」が使われることもあります。
「開発機」に触れて操作をするのは、
ABAPer
SAPコンサルタント
が中心であり、他のユーザーが「開発機」に触れることはあまりありません。
SAPのVモデルに例えると開発から単体テストフェーズで用いられるのが「開発機」になります。
②検証機
続いては「検証機」です。
「検証機」は別名「テスト機」と呼ばれ、その名の通りテストを実行するために必要な環境・クライアントのことを言います。
「開発機」で完成した資源は「検証機」を経て次の「本番機」へと移動していく流れになります。
ちなみに「検証機」では、
新規プログラム開発
カスタマイズ
などを行なってはならず、あくまでも検証やテストのためだけに存在する環境・クライアントです。
③本番機
続いては「本番機」です。
「本番機」は実際にユーザーが使用する環境・クライアントのことを指し、この環境・クライアントにおいてこちらが何か開発やカスタマイズを行うことはありません。
また、「本番機」で何か問題が起きても「本番機」に直接修正を加えるのではなくSAPの3システムランドスケープを通じて問題点の解決にあたります。
3システムランドスケープのメリット
SAPの3システムランドスケープの内訳について理解ができたところで、SAPの3システムランドスケープを使うメリットについてみていきます。
開発が効率的に行える
まずSAPの3システムランドスケープを使うメリットは、開発が効率的に行えることです。
SAPの3システムランドスケープがあることで開発をして検証をしてからユーザーが使える形で世に送り出すことができます。
しかしSAPの3システムランドスケープがないとテストもできませんし検証もできないまま世に送り出すことになりますので、様々なバグが発生することは想像に容易いです。
開発が効率的に進むのは大きなメリットと言えます。
開発とテストが同時に行える
次のSAPの3システムランドスケープを使うメリットは、開発とテストが同時に行えることです。
SAPの3システムランドスケープに含まれる「開発機」と「検証機」があることで、開発とテストを同時に行うことができます。
そもそも「検証機」がないとプログラムしたものが正常に動作するかどうかを確かめることができません。
また、「開発機」がないとプログラムを書いて開発を進めることができません。
SAPの3システムランドスケープがなければ開発とテストを別の環境・クライアント下でやらざるを得なくなります。
合同で全て進めることができるのはメリットといえるでしょう。
検証機で試用できる
次のSAPの3システムランドスケープを使うメリットは、検証機で試用できることです。
SAPの3システムランドスケープがあることで世に送り出してから検証をすることがなくなります。
一般的に世に送り出す状態というのは100%に近い完成度でなければなりません。
テストや検証を繰り返して完成品を世に送り出すのが当然となっていますが、これらはSAPの3システムランドスケープがなければ実現不可能です。
メリットというよりかは必要不可欠な理由です。
SAPの3システムランドスケープの移送手順
SAPの3システムランドスケープを使ってプログラムの開発を最後まで遂行できたとしましょう。
ではSAPの3システムランドスケープの移送手順について学んでおきます。
1.移送依頼の作成
まずは、移送依頼の作成です。
移送依頼については、
カスタマイズクライアント
アドオン開発クライアント
が作成します。
カスタマイズやオブジェクトの変更が検知されると移送依頼番号取得画面がポップアップで画面上に表示されるようになっています。
ここで移送内容を確認してテキストで入力すれば移送依頼を取得することが可能。
移送依頼についてはトランザクションコードというもので管理されており、
移送依頼番号
ユーザーID
変更オブジェクト
の3つが記載されています。
2.移送依頼のリリース
次は、移送依頼のリリースです。
ここでいうリリースとは、移送依頼をクローズするという意味でありリリースをするとそれ以降オブジェクトを追加で紐づけることができなくなります。
そのため、移送依頼をリリースする場合は紐づけるオブジェクトがないかどうかを確認するようにしてください。
ちなみにリリースした後でも新規で移送依頼を作成すれば紐づけることが可能です。
3.エクスポート・インポート
次は、エクスポート・インポートです。
SAPの3システムランドスケープの移送依頼をリリースした後は、ファイルが自動的にエクスポートされるようになっています。
ファイルは2つあり、
データファイル
コントロールファイル
です。
これらが共有フォルダへ自動的に格納されるようになっていますので、システムへログイン後、移送をインポートしてください。
トランザクションコードは「STMS」です。
これでSAPの3システムランドスケープの移送依頼を指定してからトラックマークをクリックすると移送が開始します。
完全に完了するとステータスが緑色に変わるのでSAPの3システムランドスケープの移送が完了しているかどうかをチェックしてください。
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移送の注意点
SAPの3システムランドスケープを移送する手順は以上の通りです。
ただSAPの3システムランドスケープを移送する場合は注意点がいくつかありますので抑えておきましょう。
反映順番
まずは、反映順番です。
移送依頼が複数ある場合は、反映される順番をあらかじめ把握しておきましょう。
移送するオブジェクト
次のSAPの3システムランドスケープ移送時の注意点は、移送するオブジェクトです。
移送するオブジェクトに不足がないかどうかを確認しましょう。
移送反映による影響
次のSAPの3システムランドスケープ移送時の注意点は、移送反映による影響です。
移送反映による影響がどのように出るかをあらかじめ把握しておき、不測の事態に対応できるようになっておきましょう。
インポートタイミング
次のSAPの3システムランドスケープ移送時の注意点は、インポートタイミングです。
インポートタイミングはユーザーの操作によって異なりますので、ユーザー同士で共有しておいてください。
承認プロセス
次のSAPの3システムランドスケープ移送時の注意点は、承認プロセスです。
移送の承認プロセスに関しては本番機へ問題なく移送を行う必要がありますので、担当者同士でコミュニケーションを取っておきましょう。
3システムランドスケープは経営環境の変化に対応したシステム
経営環境が急激に変化することはよくある話です。
しかし、それに対応できずに廃業を余儀なくされる企業もたくさんでてきていますがSAPの3システムランドスケープがあれば大抵のことに対処することができます。