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BW/4 HANAとは
SAP InformationSAP BW/4HANAが登場!その登場した背景や機能の特徴とは?
2016年に登場したSAP BW/4 HANAはご存知でしょうか。SAP BW/4 HANAとはSAP HANA上で動作するデータウェアハウスプラットフォームです。この記事ではSAP BW/4 HANAが登場した背景や機能、メリットと注意点について紹介します。
SAP BW/4 HANAとは
SAP BW/4 HANAとは、SAP社のSAP BWの新サービスで、データの抽出・蓄積・分析・配信を行うデータウェアハウスプラットフォームです。インメモリデータベースであるSAP HANA上でのみ動作し、SAP HANAプラットフォームを基盤としています。
1990年代からERPの導入が進み、ERPデータを活用した経営指標の可視化・多次元分析などの分析を行うために1998年、SAP Business Warehouse(SAP BW)が開発されました。
その後2011年に高速なデータ処理能力を持つインメモリデータベースであるSAP HANAが開発されることにより、データの処理速度は大きく向上します。
そして2016年にSAP BWが進化し開発されたものが「SAP BW/4 HANA」です。2019年にはSAP BW/4 HANA 2.0にバージョンアップされ、大幅にパフォーマンスが向上しました。
SAP BW/4 HANAの主な機能
SAP BW/4 HANAの主な機能は、「新たなユーザーインターフェース」「インメモリによる高速化」「企業の大量データを管理可能」の3つです。以下にその機能をご紹介します。
新たなユーザーインターフェイス
機能の1つ目は、新たなユーザーインターフェイスです。これまでは、BWではデータモデリングやモニタリングなどの作業をSAPGUIで行なっていましたが、SAP BW/4 HANAでは、新たなインターフェイスであるHANA Studioに統合されています。
それにより、チャートなどを利用したより直感的で使いやすいモデリングツールや、HTML5を使用したモニタリングツールなどが使用できます。
このようなことから、新たなインターフェイスはユーザーの生産性の向上も見込まれています。
インメモリによる高速化
機能の2つ目は、インメモリによる高速化です。SAP BW/4 HANAは、SAP HANAでのみ動作するため、SAP HANAのインメモリデータベースを活用して高速なデータ処理ができます。
基幹システムのデータをリアルタイムでデータを集計・分析できるため、より早くて正確な意思決定も可能です。
これまで以上に企業の大量データを管理可能
機能の3つ目は、これまで以上に企業の大量データを管理可能という点です。
SAP BW/4 HANAは、SAP HANAプラットフォームを基盤にしています。そのため、インメモリデータベースのSAP HANAのデータ圧縮機能とインデックス削減機能によりデータ容量の圧縮が可能となり、大量のデータが管理可能となります。
SAP BW/4 HANAのメリット
SAP BW/4 HANAのメリットは、「シンプル」「オープン」「ハイパフォーマンス」の3つです。以下にそのメリットをご紹介します。
シンプル
まず1つ目のメリットは、「シンプル」ということです。BWでは、これまで10種だったデータモデリング用のオブジェクトの数を、機能性を落とすことなく4種に削減されています。それにより、冗長性を排除した複雑でないシンプルなデータ構造による柔軟なデータモデリングが可能となっています。
オープン
2つ目のメリットは、「オープン」ということです。BWでは、これまでSAP Business Explorer(BEx)というデータ分析用のwebアプリケーションを使用することを前提としており、BICSと呼ばれるSAP専用の接続方式が主で外部ツールの使用は限定的でした。
ですがSAP BW/4 HANAでは、BWのオブジェクトからCalculation View(HANA View)を自動生成する機能が備わっているため、SQLアクセス可能なオープンなフロントエンドツールを使用することができます。
ハイパフォーマンス
3つ目のメリットは、「ハイパフォーマンス」です。SAP HANAはインメモリデータベースのため、クエリやデータの読み込みが高速化されています。また、集約、ロールアップ、統計更新などの作業も必要ありません。
さらにBWの機能や、OLAPエンジン・変換ロジック・計画機能などのロジックも、SAP HANAへのプッシュダウンによりパフォーマンスの向上が見込まれています。
そして、HANA Analysis Process(HAP)を経由してSAP HANAライブラリ(AFL)・R・カスタムHANAプロロージャを利用し、予測分析・テキスト分析・データマイニング・機械学習など高度な分析が可能となっています。
SAP BW/4 HANAの注意点
それではSAP BW/4 HANAを検討する上で企業は何に注意すれば良いのでしょうか。ERPであるSAPをSAP S/4 HANAへ移行する時に、SAP BWもSAP BW/4 HANAへと移行する必要があります。
ここでは、SAP BWからSAP BW/4 HANAのシステム移行時に企業が気をつけるべき点の中から「BExシステムが使えない」「レポートを事前に整理し移行に備える」の2つをご説明します。
BExシステムが使えない
1つ目は、BExシステムが使用できない点です。BEx(ベックス)とは、SAPビジネスエクスプローラーで、SAP BWで取得したデータを管理・分析・レポートできる機能です。
これまで、SAP BWではBexを用いて分析されていましたが、BExはSAP BW/4 HANAではサポートされていないため、他のBIプラットフォームを検討する必要があります。
レポートを事前に整理し移行に備える
2つ目は、レポートを事前に整理し移行に備える点です。これまでの運用担当者でBWの不要なレポートがないか、移行前に整理する必要があるでしょう。
SAP BWでは、長年の運用で、導入当初のレポートと似たレポートの数が数倍に膨れ上がっている可能性があります。これらを削除しなければシステム移行時に不要なレポートも移行してしまうことになり、無駄なコストがかかってしまうからです。
SAP BW/4 HANAは高速かつ大量のデータ処理が可能!
SAP BW/4 HANAの機能とメリット・注意点について紹介しました。SAP BW/4 HANAは、シンプルなインメモリデータベースであるSAP HANAで動き、高速かつ大量のデータ処理が可能です。
ただしこれまでの分析システムが使えなくなったりと、システム移行時には注意が必要です。
これを機に、ぜひBWシリーズの検討をしてみましょう。